邦楽オーケストラ
古典芸能で人生豊かに NYで三味線とおどり
秋深まる土曜日の午後、ローワーイーストサイドにあるスタジオで、「邦楽オーケストラ」の合同練習が行われた。三味線や太鼓、唄、踊りのクラスの生徒たちが集結し、長唄の芸名「杵屋吉藤次」こと渡部まり子さん指導の下でハーモニーを紡ぎ、そして舞う。
「ニューヨークの喧騒の中で生きていると、日本の踊りや音楽に触れるこのひとときが、いい区切りになります」と話すのは、アートギャラリー「ワントゥエンティーエイト」を経営する宮本和子さん。同オーケストラは、同ギャラリーでの発表会から始まり、日本の伝統芸能に興味を持つ人たちが、国籍を超えて集まった。「台湾では、日本の文化は大人気。私も日本舞踊に引かれて、クラスを取りました」と、台湾出身のリサ・ホンさん。
生徒は自分のやりたい科目のレッスンを取り、三味線の場合『さくらさくら』などから練習。「ほかのパートが分かっていると上達も早く、相手の身になって考えられるようになります」と、いろいろやってみることを渡部さんはすすめる。渡部さんが「天才的なリズム感を持つ」と絶賛するチョン・ワン・チョイさんは、太鼓などの「鳴物」のレッスンを取っているが、「三味線にも興味を持つようになりました」。
『三弦主奏楽まつり』や『越後獅子』などを練習する参加者の中には、十代の若者の姿も。16歳の畠中美穂さんは、三味線を練習中。「日本でおじさんが民謡をやっていて、興味を持ちました。Jポップにも三味線がよく使われているし、レッスンがとても楽しい」と、新しい音楽としての邦楽に興味を示す。袴姿が初々しい平林大樹さんは15歳。「人と違う楽器がやりたくて、三味線を習い始め、3曲くらい弾けるようになりました」。
ロックバンド「ハイティーンブギ」でギターを弾く三柳由加さんは、「昨日はギグで叫んで、今日は着物姿の大和撫子。このギャップが楽しいんです」と笑いながら、三味線や唄をこなす。「埃をかぶっていた祖母の三味線を見つけて、練習を始めました」とは林眞夕弓さん。二人とも、「ここの暮らしが長くなり、日本の伝統文化のすばらしさに気がつきました」と口をそろえる。「一生楽しめるものを身につけたかった」という林さんに、「古典芸能は、やればやるほど人生を豊かにしてくれます」。そう話す渡部さんの「イヤー!」「ホッ!」という掛け声に合わせ、日本の伝統音楽が、ニューヨークでも美しく調和していく。
ローワーイーストサイド(107 Suffolk St., bet. Delancey & Rivington Sts.)で、月3回土曜日に稽古。午後3〜7時の中で、踊り、唄、三味線、鳴物をそれぞれ1時間ずつ。1科目60ドル、2科目90ドル。
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