日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

日本にいる高齢の親の介護 あなたはどうする?

介護のプロフェッショナルがアメリカ在住邦人に向けて、遠隔介護または親の介護とどう向き合っていくのかを紹介。


一時帰国でやっておきたいことは?

コロナが落ち着き、夏休みで日本に一時帰国する人が増える時期になりました。久しぶりに日本にいる高齢の親御さんに会う人も多いでしょう。高齢になると心身の衰えは誰にでも起こり、生活に支障が出てきます。日々の暮らしの中でケガや事故を未然に防ぎ、安全で安心な暮らしを続けていくには、早めに親の生活環境を整えることが大切です。今回は、日本に一時帰国したときに、高齢の親のために、これだけはやっておきたいことをご紹介します。

親の現在の状態を正確に把握する。カラダや認知症状、暮らしぶりを確認

久しぶりに会う高齢の親はなかなか普段の様子を見せないものです。それは親子の心理が働くからです。親は家族(子ども)に会えるという嬉しさや心配をかけたくないという思いから、自分の老いや衰えを見せようとしません。また、家族は若い頃の元気な親の姿が脳裏に刻まれていて、親の老いた姿を認めたくないという思いが根底にあります。

まずは、こういう親子の心理が働くと覚えてください。その上で、親の現状、特に細かい部分を確認しましょう。例えば、段差が見えづらくなり下りの階段をゆっくり歩いている。電球の取り換えなど高い所の作業ができない。冷蔵庫の中に同じ食材が沢山入っている。書類が整理されずに山積み状態、など。今までできていたことが、少しずつできなくなっているはずです。これらは身体能力の低下や認知症の初期症状を見極めるための大切なポイントです。

一時帰国で老人ホームを見学したAさん。今のうちに候補を探す

米国在住のAさんのお母様は東京で独り暮らし。今はまだ元気だけれど、転倒骨折など、急に介護が必要になることはよくあるケースです。ただ、米国に住んでいるAさんは何かあったときに急対応できないため、一時帰国のときに将来検討としてお母様のために日本の老人ホームを数カ所見学されました。日本の老人ホーム(高齢者向け施設・住宅)は日本全国に4万軒以上あり、種類も多種多様です。まずは、一時帰国前にAさんの希望を伺い、候補をリストアップ。そこから3カ所を選び、一時帰国中に見学されました。入居者やスタッフの様子、食事の試食や料金体制、入居するまでのステップなどの確認をして比較検討。Aさんは実際にご自分の目で見て確かめたことで、お母様に合う老人ホームを選ぶことができ、安心して帰国されました。「まだ早い」と思っていても、一時帰国中に老人ホームを見学しておくことをお勧めします。

「介護がある暮らし」について、親の希望を聞いて家族で話し合う

親と子どもは気持ちが通じ合っている、と言いたいところですが実際はそうではありません。親のことを家族(子ども)は意外と知らないものです。親が子どもの頃はどんな遊びをしていたのか、好きな色、好きな音楽など、この機会にぜひゆっくりと親御さんと話してみてください。そして、将来介護が必要になったら、どこで、どういうサービスを受けたいのか、他界後はどうして欲しいのか、など、親本人の希望を聞きましょう。話を切り出すには少し勇気がいるかもしれませんが、これから起こる親の介護について、今確認しておくことで家族の精神的負担が少なくなります。また、それぞれの家族には事情があるので、誰が何をするのかを事前に決めておくことで家族間のもめごとを防ぎ、いざというときのコミュニケーションがスムーズに進みます。ぜひ、家族で話し合ってみてください。

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サロンドハースでは、日本への本帰国や日本にいる親の老後・介護問題、変化する日本の住宅事情、資金調達など、年々増える皆様の不安や疑問を共に考え、学び、安心に繋ぐためのセミナーを毎月レギュラーで開催しております。また、個別相談も実施していますので、ぜひ、ご活用ください。

 

横畠文美(よこばたけあやみ)

一般社団法人Hearth代表理事。国際介護アナリスト。
前職の㈱ベネッセスタイルケアにて新規老人ホームの立ち上げや広報等に携わる。
41歳の時に「世界のご高齢者の暮らし」をレポートしながら夫婦で7カ月間かけ世界一周。
訪れた高齢者施設は世界各国で200カ所以上、取材したご高齢者やご家族は2,000人を超える。
「介護を通じて日本と世界を幸せに」をモットーに活動中。


セミナー情報

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「施設選びの大切なポイント」
8月16日(水)
午後10時~10時30分(EDT)
参加費: 無料

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8月24日(木)
午後9時~10時30分(EDT)
参加費: 10ドル
※参加者には後日、アーカイブと講師が使った資料をプレゼント。
※参加費は経費を除き、海外在住の子ども達やシニアの為に寄付します。

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