先月からうだるような真夏日が到来しているニューヨーク。冷たいデザートでクールダウンしてみてはいかがでしょう?本号ではレストランで食べられるデザートからお持ち帰りで楽しめるもの、お家で作れるデザートまでを紹介する。
先月からうだるような真夏日が到来しているニューヨーク。冷たいデザートでクールダウンしてみてはいかがで
中国から日本に伝わり、禅宗の影響を受けて独自に発展した盆栽。米国では新型コロナウイルスのパンデミック以降、盆栽を身近に置いて鑑賞したり、趣味として始める人が増えているという。今週は日本が誇る伝統園芸、盆栽に注目してみた。(取材・文/加藤麻美)
癒し効果と創作要素が融合
忍耐と献身の園芸──盆栽
日本で盆栽は「おじいちゃんの趣味」のイメージが強いが、米国では癒し効果のあるインテリアグッズ「BONSAI」として若い人たちの間で人気になっている。ブルックリン区フォートグリーン地区で盆栽ケア会社を経営するマシューさんも、盆栽に魅せられた一人だ。
8年間の日本滞在で盆栽の魅力に開眼
幼い頃から植物が大好きで、美大で彫刻と絵画を学んでいたときも作品に葉っぱや木の枝、小石など自然界の「エレメント」を使うことが多かったですね。英語教師として8年間、日本で暮らしていたときに伝統的な日本庭園を扱う庭師に弟子入りし、そこから盆栽師との交流が始まり専門に勉強をするようになりました。日本庭園は石や植栽など自然のものを取り入れ、曲線を描くように左右非対称に構成されています。西洋庭園における左右対称が「調和」とするなら日本庭園は「非調和」ですが、全体で見ると絶妙にバランスが取れているでしょう? この「非調和の中に流れる調和」という美意識にとても惹かれたんです。盆栽は小さな鉢(盆器)に樹木をミニチュアの風景としてスタイリングしますが、その考え方は日本庭園におけるそれと非常に似ています。日本庭園のように、年月の経過と共に苔や木々の成長を小さなスペースで楽しむことができる。それが盆栽の大きな魅力です。
米国は屋内盆栽が主流、実験的な試みも
日本の盆栽は庭など屋外で育てるケースがほとんどですが、米国、特に都市部では熱帯原産の樹種を使い、メンテナンスが比較的楽な屋内盆栽が主流です。ニューヨーク州など東海岸は、屋外盆栽ならローカル産のクロマツやメープル、オークなどを、また、日本では使わないボックスウッズやローズマリー、ブルーベリーなども使います。
スタイリングやテクニックにおいて米国は、細かいルールに縛られないのが特徴です。例えばある種のマツを育てる際、日本ではその過程で使用した針金は必ず取り除き、残したままにはしませんが、ここでは残す技法をしばしば見かけます=写真下=。狙いは、マツが針金に巻きつき、それを「食べて」しまうことにより、より早くワイルドに育つこと。山間部や風の強い地域で育つ樹木はときとして奇妙な造形を見せてくれることがありますが、それを人間の手で再現するわけです。盆器も違います。日本では四角く底の浅いものを使いますが、僕たちは土を多く入れられ、水分を長時間キープできる、すなわちローメンテナンスの丸い鉢を陶芸家と一緒に開発して使っています。丸い鉢は場所を取らずインテリアとしても使いやすいですよ。
樹木の世話を通して自然界の美しさに感謝する
ガーデニングがヒーリング効果と脳の働きにポジティブな影響を与えることはよく知られていますが、盆栽はそれに創作要素が加わります。僕にとっての盆栽は、ミニチュアの樹木の世話を通して自然界の美しさに感謝することを学ぶこと。丹念に手入れをして運が良ければ、その木は、あなたやあなたの孫より長生きするかもしれません。時代を超越する忍耐と献身を体現する盆栽は、「あなたの人生そのもの」と言っても過言ではないのです。
<お話を聞いた人>
手に持っているのは室内盆栽で人気ナンバーワンだというファイカス
マシュー・プンティガムさん
盆栽師、ダンディーファーマー主宰
盆栽を通じて自然とのつながりを深めることを目的とした盆栽ケア会社、ダンディーファーマーを2016年に創立。同社では、小さな住空間に最適で、手入れが簡単な室内盆栽を主力に販売している(詳細はP3を参照)。
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