歴史的名盤レコードを掘る! 今週の1枚

第7回 今週のレコード:華麗なるエレクトーン(ザ・ワード) VOL.2 (関藤繁生)

今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。


世界に再発見されるきっかけとなった最重要曲が収録のエレクトーン音楽

今回は、エレクトーン奏者の関藤繁生による第4作目まで発売されているシリーズ『華麗なるエレクトーン』の第2作目を紹介。同レコードに火が付いたのは、2014年に発売された、シンガーソングライターのマック・デマルコによるアルバム『Salad Days』の収録曲『Goodbye Weekend』でカバーされたことだ。

カバー曲と彼の切ない歌声の相性は抜群と評価が高い。そして、2017年には若者に絶大な人気を誇るヒップホップデュオ、ハンチョ・ジャック(トラヴィス・スコットとクエヴォによるジョイントアルバム)の曲『How U Feel』でもカバーされた。以降、同レコードの価格が高騰し、元々2000円くらいであったが、今では1万円から3万円くらいまでの値がついている。現在、関藤繁生は今も後進の指導にあたりながら、秋篠健(あきしのけん)の名前でピアノによる演奏や作曲活動をし、自身のYouTubeで公開している。


フェイスレコード

2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。


間宮祐一

横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。

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