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新型コロナウイルス感染症、抗議活動……ニューヨークはいま、目まぐるしい変化が起きている。通りで見掛けるウォールアートにもその変化の波は押し寄せている。メッセージを発信し続けるアーティストたちの作品を紹介しよう。 (取材・文/音成映舞)
コロナ禍で見た
アートの変化
今年1月、中国から発生した新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)は、瞬く間に世界に広がり、ニューヨークにも感染の波が押し寄せた。3月20日、ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事による行政命令(PAUSE)により、自粛生活を余儀なくされた。街から人が消え、ほとんどの店は臨時休業となり、恐ろしいほどニューヨークは静まり返った。
そんな中、マンハッタン区ミートパッキング地区の小売店の外壁を活用した、「The Mural Project(壁画プロジェクト)」が始動した。このプロジェクトは、ベルサーチなどの広告キャンペーンのデザインを担当していた、デザインスタジオ「テレサ・リベラ・デザイン(theresarivera.com)」が、市への恩返しとして協力。
本来は、ハイラインが通り、買い物、飲食など、地元住民から観光客まで、さまざまな人が集う場所としてにぎわっている地区だ。以前から、窃盗や略奪対策として店頭に貼られた板を活用し、カラフルな色使いで描かれた絵は、「希望、喜び、団結」をテーマとしている。
まず初めに描かれたのは、同地区にある化粧品チェーン店「セフォラ」の外壁。「街が急速に陰鬱(いんうつ)な暗闇に変わったことを感じる歩行者に、少しでも明るい気持ちになってもらえれば」と、同デザインの担当者は考えたという。
このプロジェクトはニュースでも取り上げられ、他の小売店も次々と同スタジオに依頼。他の地区などでも描かれ、抗議活動が行われる中でも、彼らの絵に落書きをする参加者は少ない。アートは店を守り、人々を励まし続けている。
また同スタジオは、この制作によって得た収益の一部を、フードバンク非営利団体の「フィーディング・アメリカ」と高齢者への食事サービスの団体「シティーミールズ・オン・ウィールズ」に寄付している。
コロナに負けるな
マスク壁画が増加
流行に敏感なニューヨークならではといえるのが、感染拡大と共に増えた、マスクを付けた医療従事者や女性、子供が描かれた作品だろう。
最近では、ペンステーションを出た8番街と34丁目角に、ニューヨーク、パリなど世界中で活躍するアーティスト、トリスタン・イートンさんが描いた『Now and Forever(写真扉)』がある。この作品は、モンテフィオーレ病院とトリスタンさんが協力。最前線で活躍する看護師たちを称えており、「コロナに負けるな」という力強い作品となっている。こうしたアートは今、街のあちこちで見掛ける。
次ページからは、コロナから抗議活動へ。変化する街にメッセージと共に描かれる、アート作品を紹介していく。
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