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困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。
※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。
全米向け日本語情報番組「FCI News Catch!」の朝の顔として、長きにわたり在米日本人にニュースを伝え続けている久下香織子さん。
「はじめは2、3年で帰国するつもりが気付いたら23年も。自分が一番驚いています。こんなに長く続けさせてもらえるとは思っていなかったですね」と語る久下さんにとって、同番組はすでに人生の大きな一部になっているという。
もともと日本でフジテレビやNHKの報道番組でキャスターを務めていたが、結婚を機に来米した後もFCIでキャスターを務めるようになったのは意外にも偶然だった。「たまたま人員を募集していたんです。てっきり空きはないと思い込んでいたのでラッキーでした」。
地域に根付いてきた番組を背負っていく
膨大な放送局を持つ米国では、突然の番組のチャンネル変更や、受信側の放送局のミスによる放送事故などが日常茶飯事で起こる。来米当初、そんな米国の放映事情に驚きの連続だったというが、「今では何が起きてもすっかり落ち着いて対応できるようになりました」と笑う。
就任時ですでに放映開始から20年。日本でのキャスター時代よりも、街で声をかけられることが格段に増えたことは、それだけ現地の日本人コミュニティーに親しまれてきた番組なのだと実感し、視聴者の生の反応に感謝すると共に一層身が引き締まる思いがする出来事となった。
また昨年突然訪れたコロナ禍では、これまでの放送の概念が大きく覆された。自宅にスマホでカメラをセッティングしたり、自ら映像を撮影することも。慣れない作業の中、とにかく一人一人がやれることをやりながら協力し合う状況だった。しかしそんな状況は新たなノウハウの構築につながり、自らの足で取材をしたいという思いが人一倍強い久下さんにとっても新しい発見となったそう。
「これまではカメラマンの仕事の領域に踏み込んではいけないと線引きしていたのですが、私も撮影していいんだと。そうするとお伝えできる情報も2倍に増えることに気が付きました」。新たな“目”が加わったことで、ニュース編成をより充実させながら、現地のコミュニティーにいるからこそ全米各地の必要な情報をいち早く伝えることができるという、同番組の存在意義を再発見する期間にもなった。
祈るのはアジアンヘイトの終息
「23年間もいられたのは、外国人であることを忘れさせてくれるニューヨークだったからだと思います」と久下さん。アジア人差別を感じたことはこれまで一度もなかった。だからこそ、根深いものにならないことを願ってやまない。
「高校生になる息子は和食のお弁当が自慢のようで、自分の母親が日本人であることを誇りに思ってくれているんです。美味しかったと言われるとまたついつい張り切って作ってしまいますね」と母としての顔も覗かせてくれた。
いよいよ来年40周年を迎える同番組に向け、今後の目標を尋ねてみると、「“目標”はあえて作らない主義です。達成したら止まってしまう気がして。一日一日の放送を大切にしながら、スタッフと共にまた41年目を進んでいくのみですね」と久下さん。これからも在米日本人の心のよりどころとして役立つニュースを我々に届け続けてくれるに違いない。
久下香織子さん
「Fujisankei Communications International, inc.」キャスター
来米年: 1998年
出身地: 神奈川県
好きなもの・こと: ニュースを見ること
特技: 手抜き弁当
1992年〜96年にNHKの各ニュース番組、96年〜97年にフジテレビの「報道2001」などのキャスターを数々担当。
98年に結婚を機に来米。
以降、全米主要都市で毎朝(月〜金)放送中の「FCI News Catch!」キャスターを現在まで務める。
その他、著名人インタビューも多数。
fujisankei.com
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