巻頭特集

美味しいお米が食べたい

素材にこだわりあり

ヘルシーな有機玄米のおにぎりが食べられるお店

和食の象徴と言えるご飯とお味噌汁。中でもおにぎりは私たちのソウルフード。米や具材、塩、海苔、巻き方、握り方など、地域や家庭によりバリエーションも豊か。古くから日本人に愛されているおにぎりとお味噌汁を提供するライス&ミソを訪れてみた。

 

ブルックリン区はボアラムヒル地区にお店を構えるライス&ミソは、おにぎりと美味しいお味噌汁が食べられるお店。オーナーの初島美香さんは「安心して気軽に美味しい和食が食べられるお店」が身近になかったことがきっかけで、ならば自分で作ろうと同店を立ち上げたそうだ。

お米はカリフォルニア州のランドバーグ・ファミリー・ファームズの有機玄米と、ポリト(同じくカリフォルニア産)を使用。色々な品種を試した結果、現在のお米に辿り着いたようだ。

「産後に有機玄米を食べ始めたところ、体調がよくなり母乳の質まで変わりました。その栄養価の高さに本当に驚きました。精米せず、もみ殻を取り除いただけの状態である玄米を食べるので有機栽培で品質が良いものを探しました。玄米が苦手だという人もいるでしょうが、圧力鍋で炊き上げると、ふっくらしてプチプチと食べ応えのある食感になります」と初島さん。

 

地元の常連客の中には毎日食べに訪れる人も

おにぎりは、塩むすびや梅、黒胡麻、牛肉、ツナマヨ、鮭、スイートコーンの焼きおにぎりなど合計9種類。ビーガンの人でも安心して食べられると、欧米の客にも人気のようで、客の大半が非日本人だという。

一押しはオリジナルの特製ネギ味噌おにぎり。隠し味に地元で作られる有機納豆をペーストにして混ぜ合わせている。香ばしい風味とネギ味噌独特の甘味がよく合い、ご飯がすすむ、これぞクセになるお味。

立ち上げ当初はおにぎりとお味噌汁に特化していたが、現在はおにぎりが入ったお弁当や日替わりのお惣菜なども扱う。お弁当のメインディッシュは、揚げ出し豆腐や麹に漬け込んだチキン、甘麹と白味噌に漬け込んだ鮭の3種類。安心して健康的で美味しいものが食べられると、毎日訪れる客もいるそうだ。

 

おにぎり2個とメイン、副菜2品がついたお弁当。メインの揚げ出し豆腐はプルプルとしてなめらかな食感で驚くほど美味しい。この日のお味噌汁はケール入り。ほうれん草のように甘味があり柔らかく子供にも好かれる味だ

 

母の味、家庭の味を

初島さんは二人の女の子のお母さんでもある。また、同店で働くスタッフは皆、日本人のお母さんたち。「子供に安心して食べられるものを」という同店のコンセプト通り、塩加減や味付けは、和食の基本となる母の味を大切にしているんだとか。

使っている食材は、NON─GMOや、無添加調味料、野菜もできる限り有機野菜を仕入れているという。お惣菜の中には、初島さんのお母様直伝のレシピからなるメニューもあるという。漬物や煮物、和え物はどれも家庭の味。お味噌汁には季節の野菜を取り入れ、味噌は無添加のものを使用。麹や発酵食品にもこだわる初島さんは、時に自家製味噌を作って使用することもあるそうだ。

幼少期から有機野菜や無添加などにこだわるお母様を間近で見て育った初島さん。お母様の味がアイディアの礎になっているようだ。「子供の頃、母に有機栽培している農家の見学に連れて行ってもらった記憶があります。今思えば、母に経験させてもらったこと、食べさせてもらったものが活きているのかな、と母に感謝しています」と話す。

今後については「やりたいことは沢山ありますが、現在クローズしているダンボ地区での再開を進めていきたいです。有り難いことに待っていてくださるお客様からのリクエストが多くて。また色々な人におにぎりを食べてもらえてたら嬉しいです」と語ってくれた。

作りたてのおにぎりは海苔もフレッシュだ。焼きおにぎりはコーン入りが人気

 

<お話を聞いた人>

初島美香さん(「ライス & ミソ」オーナー)

大学在籍中からモデルとして活躍。イタリア版『VOGUE』の編集長、フランカ・ソッツァーニの目に止まったことをきっかけに大学卒業後の1996年に渡英。コレクションや有名雑誌などで活躍しその後、活動の拠点をニューヨークに移す。2017年にブルックリン区に有機玄米を使ったおにぎり専門店「ライス&ミソ」をオープン。

 

RICE & MISO

134 Nevins St., Brooklyn, NY 11217

TEL: 929-279-3488/riceandmiso.com

 


身近に手に入る素敵なご飯茶碗

海外暮らしでも手に入る素敵なご飯茶碗で普段の食卓に華やぎを。

波佐見焼・とくさシリーズ

常緑シダ植物の一つである「とくさ」。そのすっきりとした姿や、凛とした佇まいを器に写した縞模様を「とくさ文様」と呼ぶ。日本では古くから愛されている模様の一つ。

24ドル(musubikiln.com)

 

大胆で美しい上絵付けの久谷焼

久谷焼の歴史は江戸時代初期から始まる。石川県南部で作られる陶磁器で絵画的な上絵付けによる装飾が美しいのが特徴。皿や茶碗のほか装飾品としても愛されている。

70ドル/2つセット(musubikiln.com

 

食卓が映えるカラフルお茶碗

シリアル用の器として販売されているが、軽くて持ちやすくご飯茶碗としても使える。食卓が華やぐ鮮やかな配色とデザインが魅力的。

9ドル60セント(westelm.com

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