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桜の花も満開を迎え春の行楽シーズンがやって来た。ニューヨーク市内から日帰りできるハドソン川流域・キャッツキル山麓の人気のスポットを紹介しよう。(文・取材/加藤麻美)
行楽地のキーワードを満たす川沿いと山麓の町へ
ニューヨーク市内から日帰りできる行楽地で旅行雑誌や情報サイトが取り上げるスポットは毎年ほぼ決まっている。キーワードは風光明媚、歴史的建造物、アウトドアアクティビティー、アート&カルチャー、食、ショッピングで、これらの要件を満たす場所の大半はハドソン川流域、キャッツキル山脈の麓にある。
ハドソン川流域
車で45分、メトロノース鉄道ハドソンラインでも1時間以内で行けるタリータウン(地図①)は、18〜19世紀建造の邸宅や古城が眠る史跡の宝庫。別名「スリーピーホロー」とも呼ばれている。大地主で貿易省だったフィリップス家の屋敷と庭園を再現したフィリップスバーグマノアや、ロックフェラー家の邸宅カイカット、ゴシックリバイバル様式の建築としては米国屈指と称えられるリンドハースト、マティスとシャガール創作のステンドグラスを鑑賞できるユニオン教会など、まるで時間が止まったような風景が広がっている。ハロウィンの季節にフィリップスマノアで開催されるジャック・オ・ランタンのライトアップイベント「ブレーズ」も有名だ。
タリータウンのさらに北。車で1時間、メトロノースなどで2時間で到着するハイドパーク(地図②)周辺には果樹園やワイナリー、入植時代の史跡やウエストポイント(陸軍士官学校)、億万長者バンダービルトのボザール様式の邸宅、フランクリン・ルーズベルト元大統領の図書館、大統領夫人エレノアの隠れ家ヴァル・キル・コテージがある。必ず立ち寄りたいのは「セレブシェフ養成校」とまで呼ばれるCIA(カリナリー・インスティチュート・オブ・アメリカ)のレストラン。トップレベルの料理が手頃な価格で味わえるとして20年以上前から大人気で、ピークシーズンとなる春から秋は数カ月前から予約でいっぱいになる。
CIAからさらに12マイルほど北にあるラインベック(地図③)は、個性的なブティックやギャラリー、ロカボ(可能な限り地元で栽培され調理された食品を食べる人のこと)に人気のレストラン、インディペンデント映画専門の映画館が集まるアートビレッジ。ビンテージ飛行機を展示する博物館オールド・ラインベック・アエロドロームでは6〜10月の毎週土・日曜には第1次世界大戦で活躍したプロペラ機の精密なレプリカによるエアショーを開催。15分の体験飛行もできる。
キャッツキル山脈麓
ニューヨーク州南東部に位置するアパラチア山脈の一部、キャッツキルの麓にある代表的な観光地はウッドストック(地図④)とキングストン(地図⑤)だ。ウッドストックと聞くと1968年の伝説的コンサートを思い浮かべるが、実際に開催されたのはここから約72マイル東南にあるべセルだったことはよく知られた話。それなのになぜウッドストックと称したかというと、当初はアーティストやミュージシャンのコミュニティーだった同地で開催する予定だったからだという。
現在のウッドストックはヒッピーな面影がほとんど感じられないほど洗練された避暑地の風情。当時を偲ばせるものは、ギフトショップのウインドーを飾る平和のシンボル鳩とギターをモチーフにしたコンサートTシャツぐらいだ。
カラフルなギャラリーやブティック、レストランが立ち並ぶキングストンは近年成長が著しい町。ストックヤード国立歴史地区や独立戦争以前に作られた全米唯一の交差点など史跡も多い。150年の歴史誇るキャッツキル・マウンテン・レイルロードに乗ってキャッツキルとハドソンバレーの絶景の中を走るアトラクションもある。
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