日本への本帰国前後の各種手続き

日本への本帰国前後の手続きについて(前編)

帰国前の準備 

今回からこの紙面をお借りして、将来日本へ永住帰国される人に役立つ情報を紹介させていただくことになりました。どうぞよろしくお願い致します。
さて、長年米国で暮らしていた日本人(または元日本人)がリタイアした後、日本へ永住帰国する傾向は以前からありましたが、特にこの1〜2年で強くなったように感じます。もともと「日本の質の高い医療を受けたい」、「高齢になり車社会の米国での移動(運転)が難しくなったので公共交通機関が発達した日本で生活したい」などの理由がありましたが、最近では米国での物価高と為替の円安基調があり、本帰国するのであれば、今がチャンスと感じる人が増えたこともあるようです。
 
帰国前後に必要となる手続き
 
本帰国となれば、国境をまたいでの転居(移住)になるわけですから、いろいろな手続きが発生します。本帰国を決断したら、まずはどういった一連の手続きが必要か、自分の家族構成、仕事、資産などの状況をもとに調査することから始めましょう。その上で、各手続きに必要となる期間(日数)も調べ、帰国予定時期から逆算して準備計画を立てます。下記の表は、本帰国時に必要となる主な手続きをまとめたものになります。表の左右には、日米どちら(または両国)での手続きとなるかも紹介しています。
 
帰国前の日米それぞれでの手続き(項目番号は表の番号を指しています)
 
今回は表で紹介した各手続きの内、帰国前の各手続きについて紹介します。なお、帰国後の各手続きについては次号で紹介する予定です。また★印のついた項目については、制度が複雑なため、今後個別に紹介する予定です。
 
1.住居・不動産に関すること
 
〈米国側〉現在の住居をそのまま維持し続けるか、処分するかを決めます。持ち家なら売却または貸出の手続きを、賃貸で居住していた家なら解約手続きなどが必要になります。売却となればキャピタルゲインに対する税務申告も必要となります。〈日本側〉既に日本に家がある、家族(親族)の家に住む、新たに家を購入・賃貸するなど、人によって対応は異なります。帰国後、親族や知人宅、マンスリーマンション、ホテルに一時的に仮住まいして住居を探すことも可能です(仮住まいでも住民登録は可能です)。
 
2.子供の学校
 
子供の年齢によっても変わると思いますが、米国に残って教育を受けるか、一緒に帰国して日本の学校へ入学・編入するか家族で話し合って決めます。帰国となれば、日本の学校の調査も必要ですし、編入試験のある学校であれば早期に手続きするようにします。
 
3.引越し
 
具体的な帰国スケジュールが決まったら、米国にある家具を日本へ搬送するか検討し搬送業者へ依頼します。現在、日系の引越し業者も進出していますので、手続きも進めやすくなっています。なお、荷物を日本で受け取る際に必要となる書類をあらかじめ業者に確認し、搬送荷物の中に含めずに、携行して日本へ入国するよう注意します。
 
4.金融資産・金融機関に関すること(★)
 
〈米国側〉米国側の銀行の預貯金、金融商品、IRA、Annuityなどの口座をそのまま米国に残しておけるものと、解約すべきものに区分けします。またSocial Securityの受け取り先や、税金、その他費用の支払い用の口座も米国に残しておくべきか検討します。日本への帰国後、非居住者口座を維持できるかどうかは各銀行によって対応が異なりますので各銀行へ確認します。また口座の維持が可能な場合、日本での預金の引き出し方法の確認や、オンラインバンキングへの登録手続きなども忘れずに行いましょう
〈日本側〉現在世界のほとんどの国で居住者以外の新規口座開設は原則できないため、帰国前に日本の銀行で口座開設はできません。ただし渡米前から日本にある口座を維持している場合は、利用できると思います。また、外国人は原則帰国後6カ月を経過しないと口座開設できません。
 
5.在留資格取得申請(米国籍取得者)(★)
 
米国籍を取得した人は日本から見れば外国人なので、住民登録して日本で居住するには在留資格が必要です。帰国前に事前に日本の法務省出入国在留管理局に対し申請、取得しなければなりません。手続きには5〜6カ月ほどかかります。
 
6.米国再入国許可申請(永住権取得者)
日本帰国後、米国へ戻る予定が無ければ永住権(グリーンカード)を返納することになります。米国へ戻る予定があれば返納はせず、事前にUSCIS(米国移民局)に対し再入国許可申請が必要となります。
  
 いかがでしょうか? 今回は、一般的な手続きを紹介しました。その他にも各家庭の状況によって必要な手続き(ペットの譲渡や移送、車の処分、就労先の手続きなど)があると思います。

蓑田透 ライフメイツ代表
「海外居住者専用日本帰国・相続・年金・金融コンサルタント」として、老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、介護、不動産、就労・起業、税務、金融などの相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種専門手続き(親の介護、相続、税務、金融、年金、国籍/戸籍、行政など)の代行、コンサルティングを行う。幅広い知識とわかりやすい解説、専門家
ネットワークと豊富な実務経験で海外居住者から信頼が厚い。
ウェブサイト: www.life-mates.jp

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