巻頭特集

週末のプチお出かけ NJトランジットに乗って行くアズベリーパーク

ペンステーションからNJトランジットで2時間弱。旅行雑誌が「ジャージーショアで最もクールなビーチ」と絶賛するアズベリーパーク。その魅力の一端を紹介しよう。(取材・文/加藤麻美)


公民権運動時に荒廃再開発で甦ったビーチタウン

アズベリーパークは19世紀後半に住宅地として開発。1920年代にはボードウォークやカルーセル、カジノや豪華ホテルのあるリゾート地として発展した。戦前から戦後にかけては、ジャージーっこのみならずニューヨークやフィラデルフィアからの避暑客で大いににぎわったが公民権運動真っ盛りの70年7月4日に暴動が発生。7日間にわたる略奪や放火、破壊の末、町はゴーストタウンとなった。「黒人音楽やジャージーショアサウンドの聖地」と呼ばれ、ロックファンの間ではよく知られた存在だったが、週末のディスティネーションとして注目を浴びるようになったのは2002年から始まった再開発で町が文化的・経済的に活性化してから。現在では海水浴にサーフィン、ライブミュージック、ヒップなレストラン&バー、ギャラリーにアンティークショップ、ラグジュアリーホテルと、サマーバケーションの要素を完璧に満たすビーチとしてますます存在感を高めている。

ルネッサンス様式の大ホール ボードウォークは名曲にも登場 

駅前は拍子抜けするほどのんびりとした風情。ブルース・スプリングスティーン1973年発表の名曲4th of July, Asbury Park(Sandy)』にも登場するボードウォークまでは徒歩で約15分ほど。

中間に位置するのが、アズベリーパークのアイコン、コンベンションホールだ。1930年建造のルネッサンス様式のホールは、グランド・セントラル・ターミナルを設計したウォーレン&ウェットモアによるもの。ボードウォークをまたぐグランドアーケードでつながるパラマウントシアターとともに国の史跡に指定されている。

同シアターは、過去にはビーチボーイズ、ドアーズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ボブ・ディランなどのスーパースターが、2000年代になってからも大物が続々と出演。2018年から始まった野外音楽祭SHNSea Hear Now)には世界中からロックファンが押し寄せる(今年はブルース・スプリングスティーン&Eストリートバンドが出演)。

清潔な砂浜、透明な海水 落ち着いた雰囲気のビーチ

ビーチパス(平日6ドル、週末・祝日10ドル)はネットで事前に購入しておけば現地で並ばずに済む。有料だけあって砂浜の清掃は行き届きごみ一つ落ちていない。海水の透明度も高い。都会のビーチではお目にかかれないクリスタルクリアな美しさは感動ものだ。サーフィンをするなら8アベニューとディール・レイク・ドライブの沖合、または少し南にあるエイボンで。犬をリードなしで遊ばせられるドッグビーチは北端に、子供向けのミニ遊園地「スプラッシュパーク」は2アベニューにある。コンベンションホール北側のボードウォークには商業施設がないので落ち着いた雰囲気でビーチも比較的人が少なめ。のんびりしたいなら北側がおすすめだ。

 

〜ロックファンの巡礼の地〜

ストーンポニー

ブルース・スプリングスティーンやボンジョヴィ、サウスサイド・ジョニー・アンド・ザ・アズベリー・ジュークスなど、ニュージャージー州の「レジェンド」なミュージシャンがそのキャリアをスタートさせ、ロックファンの「巡礼の地」とされるのが、ボードウォーク西側にあるライブハウス「ストーンポニー」だ。1973年創業。90年代は店のトラブルに関連する訴訟を発端に経営難に陥ったが、ここで育ったミュージシャンや常連がサポート、改装を経て2000年に再オープンした。08年には世界最大のプロモーター、ライブネーションと提携。アズベリーパークを大物ミュージシャンの全米ツアーの主要なマーケットに押し上げると同時に、地元出身のミュージシャンを育て支援する役割を担っている。5〜10月にはサマーステージも開催。

The Stone Pony

913 Ocean Ave., Asbury Park, NJ 07712

stoneponyonline.com

 

アズベリーパークへの行き方

cityofasburypark.com

visitmonmouth.com/tourism

電車: NJトランジット

(Penn Station→Long Blanch→Asbury Park)

njtransit.com

バス: アカデミーバス

(Port Authority Bus Terminal→Kennedy Park, Cookman Ave.&Grand St.)

academybus.com

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