日本への本帰国前後の各種手続き

〈第6回〉日本の高齢者施設と探し方について

読者の皆様も既にご存じかもしれませんが、日本には何種類もの高齢者施設があります。しかしそれぞれの特長や違いが理解できない、また入居する際にどうやって探せばよいのかわからない、という人が少なくないようです。そこで今回は高齢者施設について紹介したいと思います。

1.高齢者施設の種類と特長

高齢者施設については大きく二つのタイプに分かれます。一つは介護が必要とされる状態の人のための公的介護施設(Aタイプ)と、もう一つは介護が必要という状態ではないが高齢者(健常者含む)のための身の回りのサポートも併せて提供してくれる民間の施設(Bタイプ)になります。

前者は介護保険制度によって運営される公的介護施設なので誰でも利用できるわけではなく、入居に際しては自治体による介護認定を受ける必要があります。公的施設なので入居費は比較的安く入居時の初期費用も発生しません(一部を除く)が、入居希望者が多く申し込んでもすぐには入居できない状態です。

後者は認可を受けた民間企業が運営する施設で全体的に入居費は高いですが、比較的容易に入居できます。表は、それぞれのグループ毎の施設の種類について説明しています。

2.施設の探し方

一番簡単で手っ取り早い方法は、インターネットの高齢者施設の検索サイトを利用する方法です。現在いくつもの検索サイトがありますので、検索キーワードで、例えば「高齢者施設 検索」と検索するといくつもの検索サイトが紹介されます。またネットが苦手な方も、電話で全国の施設を紹介してくれるサービスもあります。その他、意外と知られていない方法ですが、特に地方の居住者で地元の施設を探す場合、地方自治体のサービスを利用することです。具体的にはその地区の地域包括支援センターや社会福祉協議会に連絡すると、最新の空き部屋情報などを含め電話で教えてくれます。これらの連絡先は市町村役場の福祉課へ問い合わせると教えてくれます。

候補施設を選ぶ場合ですが、特にBの民間の施設については大体の場所と予算を決めた上でじっくりと余裕をもって検討することが必要です。施設の数は多いですが、立地や施設の築年数、介護サービスの内容によって入居費用はさまざまです。また施設の快適性や介護サービスはカタログ上だけでは十分とは言えず、できれば現地見学はしたいところです。入居一時金などを含めると数十万円~数千万円の費用がかかりますので、入居後に「こんなはずではなかった」となることだけは避けたいものです。

3.老後の住み替え計画を考える

老後の住替えは自分の健康状態なども考慮して介護を意識した計画を立てることをおすすめします。単に立地や快適性だけで高齢者施設を決めるのではなく、将来の介護の必要性を含めて考えます。施設によって利用できる介護サービスにも違いがあり、例えば費用をかけて施設に入居したものの、重度の介護を必要とする状況になると退去しなければならないケースもあります。そこで老後期間を①自立期、②要支援期、③要介護期に分け、①の期間は高齢者施設でなく自宅、②はケアハウスやサービス付き高齢者向け住宅、③は有料老人ホームといったように計画にすれば、なるべく費用を抑えつつ将来の健康状態に合った住み替えができます。


蓑田透 ライフメイツ代表
「海外居住者専用日本帰国・相続・年金・金融コンサルタント」として、老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、介護、不動産、就労・起業、税務、金融などの相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種専門手続き(親の介護、相続、税務、金融、年金、国籍/戸籍、行政など)の代行、コンサルティングを行う。幅広い知識とわかりやすい解説、専門家
ネットワークと豊富な実務経験で海外居住者から信頼が厚い。
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