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残暑の抜け切らないニューヨークだが、暦の上では秋は目前。食欲の秋を存分に楽しむために、今のうちから、秋冬シーズンに旬を迎える食べ物をチェックしよう。 (取材・文=南あや)
秋といえば、マツタケ、シイタケといったキノコ類がおいしい季節。ニューヨークではカサの大きいポータベロ・マッシュルームも、レストランでよく見掛ける。
マンハッタンには、とあるキノコをメインメニューに押し出すレストランがある。その名は「カルドンチェロ・ディヴィノ」。目玉の食材は__エリンギだ!
南イタリアの定番食
エリンギの仲間(トランペット・マッシュルームなどもこれに相当)である南イタリアの伝統食材、カルドンチェロ(cardoncello)を全面に押し出す、このユニークなイタリア料理店は、2018年にノマド地区でオープン。
「南イタリアといえば、カルドンチェロ。地域一帯どこでも採取できたので、昔から人々の生活にとても身近な存在です」と胸を張るのは、親日家なゼネラルマネジャー、クリスティアン・フェルーリさん。15年に南イタリアからやって来た。祖国の味をニューヨークに広めるため、レストランの食器やテーブルなどは南イタリアから直接持って来たというから、こだわりようは生半可ではない。
「本物の南イタリアの味を追求するなら、カルドンチェロはかかせません」
プリプリのカルドンチェロが皿の端から顔を覗かせるメニュー「Cardoncello」は、香りのハーモニーに思わずうっとり
「Fettuccine」はクリスティアンさんの妻が麺を手作り。カルドンチェロは刻んでアクセントに
主役にも、脇役にも
食感は日本のエリンギとほぼ同じだが、カルドンチェロの最大の魅力は、その豊かな香りと風味。催淫作用すらあるとされ、中世には宗教的観点から、食するのが禁じられていたほどだという。クリスティアンさんによると「うまみ」成分が入っており、これが、われわれ日本人の舌にもよくなじむ。
そこで、クリスティアンさんのオススメメニューをいくつか試食してみた。まずは、カルドンチェロに薄切りジャガイモを重ね、トッピングにトリュフを添えたアペタイザー。プルプルなカルドンチェロの、なめらかな舌触りにうっとり。なんといっても、濃厚かつ癖のあるトリュフの風味を、このキノコがさらに引き立てるのがいい。
「フェットチーネ」は、同店特製のターメリック入りフェットチーネに、カルドンチェロ、トマト、カーチョリコッタ・チーズをプラス。チーズのコクがしみたカルドンチェロは、先ほどよりもさらに濃厚な味わいに。
同店ではこの他にも、デザートとしてブラウニー、そしてセミフレドにも、カルドンチェロを使うのだとか。気になる味は、実際に食べてからのお楽しみ。
「主役にも脇役にもなれる食材なんです」とクリスティアンさん。「カルドンチェロ、おいしいでしょ!」と日本語でにっこりと笑い掛けてくれた。
「まだ食べに来たくなる」ような、温かいもてなしが同店の信条。南イタリアの道具や食材、文化の品を店内に散りばめて、現地を再現した
Cardoncello DiVino
43 W. 27th St.
(bet. Broadway & 6th Ave.)
TEL: 917-409-5995
cardoncellodivino.com
地下鉄N、R、Wラインの28ストリート駅から徒歩2分
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