巻頭特集

日本の酒、 夏の家飲み!

真夏のニューヨーク。いつもならルーフトップバーで開放的に酔いしれるところだが、今年はソーシャルディスタンスを重視して「おうち」志向。そこで今号では、「夏」「家飲み」「手軽」をキーワードに、日本のお酒を家でより一層楽しむためのアイデア、カクテルレシピ、おすすめペアリングを紹介する。(取材文/古村典子)


夏らしい飲み方を自在に演出おすすめは「酒ハイボール」

夏向きのお酒、おすすめの飲み方について、酒コンサルタントの新川ヘルトン智慈子さんに聞いた。

暑い季節に家でお酒を楽しむには、どんなタイプ、サーブの仕方がおすすめですか?

実はどんなお酒でも飲み方を変えるだけで夏らしく楽しめます。すっきりした吟醸系のお酒やスパークリング酒はもちろん確実ですが、もし家にこっくりした味わいの山廃や生酛(きもと)のお酒があったら、それにカチ割り氷を入れてオンザロックにして飲むとか、またそれをセルツァーで割ってハイボールスタイルにするとか、ライムを搾ったりレモンを添えたりするだけで表情が変わります。

グラス選びもポイント。もしスパークリング酒を飲むなら、もちろんフルートグラスでおしゃれな感じにするのもいいですが、せっかく夏なので大振りのタンブラーやメーソンジャーでじゃぶじゃぶ飲むのもいいと思います。

 

新川さんのこの夏一番のおすすめは酒ハイボール。ベースのお酒はなんでもOK。写真手前は梅酒ハイボール、奥はにごり酒ハイボール

 

アルコール度数が少なめ、低カロリー、そしてスパークリングというハードセルツァーがはやっていますが、日本のお酒でこの三拍子そろったものはありますか?

酒ハイボールがおすすめです。すっきりとしていて、私も個人的に家でよく楽しんでします。酒ハイボールにするなら日本酒も種類を選ばないので、繊細なお酒でなくても、お値段がリーズナブルなお酒や、一度開けて古くなっちゃったかなというようなお酒でもおいしく作れます。にごり酒、梅酒、ユズ酒、純米、山廃・生酛、本醸造など何でもいけます。

基本はグラスに氷をたっぷり入れて日本酒半分、セルツァー半分。ちょっとカクテル感を出したかったらレモンやライムを搾るといいですよ。

バーベキューにお酒を合わせるとしたら?

お肉やスモーキーな食材を食べると、口の中も油やソースでベタついてしまいますが、強炭酸で割った酒ハイボールがそれをさらっと流してくれます。

ビールが好きな人には、ビールとにごり酒を1対1で割ったカクテルをおすすめします。ベルギーの白ビールのような、角の取れた丸い味のビールカクテルになります。それにオレンジスライスを入れるとおしゃれになりますし、バーベキューにも合いますよ。

蒸留酒で夏らしいカクテルを作るとしたら、強炭酸で割っても味わいが残るものを使うのがいいと思います。お好みに合わせて焼酎の種類や度数、ガーニッシュを変えるだけで簡単にいろいろな味が楽しめます。

しっかりとした味わいの日本酒なら、古い固定観念を忘れて、オンザロックもOK

 

新川ヘルトン智慈子さん

酒ソムリエで、日本酒マーケティングコンサルティングを専門とするSake Discoveries代表。
酒サムライの称号も持つ。
sakediscoveries.com
@sakediscoveries
@sakediscoveries

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1255

夏の和野菜

盛夏のニューヨーク。色鮮やかな野菜たちが街中に溢れ、目を奪われるが、私たち在留邦人はどうしても和野菜が恋しい。実は、よく探せば、こんなアウェーな土地でも本格的な日本の野菜が手に入る。グリーンマーケットや野菜宅配サービスの賢い利用法など、今回の特集ではとっておきの和野菜情報をお届けする。